情報セキュリティ アドミニストレータ(セキュアド)過去出題問題平成14年 午後1 問2最終更新日 2006/02/26
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情報セキュリティ アドミニストレータ過去問 平成14年 午後1 問2 |
問2
認証システムに関する次の記述を読んで、設問1〜5に答えよ。
B社は、本社を東京にもち、複数の事業所を有する大手製造業者である。本社と各
事業所は、社内ネットワークで結ばれている。社外への情報提供のために、非武装セ
グメント(DMZ)にWebサーバを設置している。B社は、早くから情報化に取り組
んでおり、社員に1人1台のパソコンを配布している。また、社内の各種業務サービ
スの多くは、ブラウザからアクセスできる。このうち、人事や経理など一部のシステ
ムは、IDとパスワードによるアクセス制御を行っている。電子メールについては、4
月と10月の年2回の定期人事異動のたびに電子メールアドレスが変わることがない
よう、所属部門に依存しないアドレス形式に統一されている。
昨年、経営トップの交代があり、情報化戦略強化の一環として、公開かぎ基盤(以
下、PKIという)の構築が打ち出された。情報システム部のS部長は、直ちに、T課
長、U主任とともにPKIの導入計画を策定し、システム設計を開始した。その概要
は、次のとおりである。
(1)PKIの導入によって、クライアント認証の強化を図る。具体的には、サーバヘの
アクセス時のクライアント認証、社外からB社システムヘのアクセス時のクライア
ント認証に適用する。
(2)公開かぎ証明書の発行対象は、全社員とする。失効事由が発生した場合には、直
ちに失効手続を取るが、人事異動で失効にならないよう設計に留意する。
(3)公開かぎ証明書を発行する認証局の主管は、情報システム部とする。認証局は、
社員の秘密かぎを保持しない。
(4)社外から社内サーバヘのアクセスは、100人規模のパイロットシステムによって
3か月間の評価を実施し、その後、全社展開を行う。
社員は、配布されたツールを使用して、あらかじめ秘密かぎと公開かぎのかぎペア
を生成し、公開かぎ証明書を取得する。
図1に、B社システムの構成を示す。
図1 B社システムの構成
S部長は、@IDとパスワードによる認証方式が利用者にとって負担になり、結果
としてセキュリティの水準を低くしているという問題意識をもっていたことから、
PKIの導入によって、一気にこの問題を解決できると考えた。
PKIの設計のかなめは、公開かぎ証明書め設計である。S部長、T課長及びU主任
の3人は、図2に示す公開かぎ証明書に記載する"対象者名(subject)”と"有効期
間"について議論した。
シリアル番号 発行者名 有効期間 対象者名 公開かぎ 発行者の署名 |
図2公開かぎ証明書(主な内容)
S部長:公開かぎ証明書は、印鑑証明書のようなものなので、"対象者名"をユニー
クにする必要がある。
T課長:社員番号、電子メールアドレス、所属と氏名などいろいろ考えられますが、
公開かぎ証明書を画面で見てすぐ確認できることと、社内で使うものですか
ら、所属と氏名を記載したらいかがでしょうか。
S部長:Aその案は賛成できないな。ユニークにするといっても、社員番号ではだ
れだか分からないので問題だが、電子メールアドレスなら既に電子メールが
社内に普及しているので、問題は少ないと思う。無論、氏名と社員番号の組
合せや、氏名と電子メールアドレスの組合せでも構わないと思うが。
T課長:それでは、氏名と社員番号の組合せにしましょう。
S部長:公開かぎ証明書には、有効期間があったはずだが、どれくらいだったかな。
U主任:4年です。
S部長:有効期間が切れる前に、次の公開かぎ証明書を発行する必要があると聞いて
いるが、それはいつごろを計画しているのかな。
U主任:全社規模になりますと、数日で次の公開かぎ証明書を発行するのは難しいと
思いますので、有効期間が切れる1か月前からにしたいと思います。
パイロットシステムによる評価は、以前から情報システム部門に協力的な営業部と
技術部が行うことになった。早速、両部の部員に対して操作方法や公開かぎ証明書の
取得の仕方などの説明会が開かれ、翌日から公開かぎ証明書の発行申請の受付が始ま
った。公開かぎ証明書の発行申請及び取得は、Webから行うことができるようになっ
ており、このときに入力する本人確認用の"初期パスワード"は手渡しで配付した。
1週間のうちに全員が手続を済ませた。
1か月ほど経ったある日、U主任に技術部のC君から電話が入り、秘密かぎと公開
かぎ証明書が入ったパソコンを紛失してしまったと連絡があった。BU主任は、認証
局の運用規定に従ってC君が本人であることを確認し、速やかに処置を行った後、C
君に次にとるべき処置を指示した。このような場合に社員がとるべき行動については、
説明会で配付した説明書やWebページにも掲載してあるが、試行期間中でもあった
ので、どうすればよいかを懇切丁寧に説明した。
パイロットシステムによって、社外から社内サーバにアクセスできるようになった
ことから、営業部の部員には好評であった。
パイロットシステムによる試行が始まると同時に、S部長をはじめとするプロジェ
クトチームは、全社展開に向けて準備を開始した。
S部長:今度は全社規模であり、試行時のように本人に手渡しするわけにもいかない
ので、何か工夫が必要だと思うが。
T課長:はい。公開かぎ証明書の発行申請及び取得はWebから行い、C発行申請前
と取得後に、それぞれこのような内容の電子メールを送付して通知しよう
と思います。(と言いながら、電子メールで通知する内容を書いた説明書を
S部長に提示する。)
S部長:なるほど。これなら問題ない。話は変わるが、この前、我が社と似たような
規模のW社のF部長に会ったときの話だと、W社はPKIを利用したディジ
タル署名システムを試行するそうだ。D公開かぎ証明書の有効期間は4年で
半分め2年経ったところで次の公開かぎ証明書を発行するといっていたが、
我が社は1か月前で大丈夫か。
U主任:大丈夫です。問題ありません。クライアント認証のためなので、1か月前で
十分です。
設問1
本文中の下線@で、IDとパスワードによる認証方式が抱えている、利用者に
とって負担になる問題とは何か。セキュリティ確保の観点から2つ挙げ、それぞ
れ25字以内で述べよ。
設問2
本文中の下線Aで、S部長が反対した理由を30字以内で述べよ。
設問3
本文中の下線Bで、U主任が行うべき処置と、U主任がC君に対して指示すべ
き処置は何か。U主任が行うべき処置を15字以内、U主任がC君に対して指示
すべき処置を30字以内で述べよ。
設問4
本文中の下線Cの電子メールの内容は何か。公開かぎ証明書の発行申請前と取
得後の電子メールの内容について、それぞれ20字以内で述べよ。
設問5
本文中の下線Dで、W社は有効期間が切れる2年前に次の公開かぎ証明書を発
行するのに対して、B社では有効期間が切れる1か月前の発行を予定している。
なぜ、更新時期がこのように大きく違うのか。80字以内で述べよ。
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