テクニカルエンジニア(ネットワーク)過去出題問題

 平成16年 午後1 問3

最終更新日 2006/02/28
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Tomのネットワーク勉強ノート
 過去問(午後)
   テクニカルエンジニア (ネットワーク)過去問(午後)
     テクニカルエンジニア(ネットワーク)過去問 平成16年 午後1 問3

問3

ネットワークの再構築に関する次の記述を読んで,設問1〜4に答えよ。

S社は,計測器を製造販売する会社である。図1に示すように, S社は本社のほか
に,工場2か所及び営業所8か所をもち, これらの拠点間をフレームリレー(以下, 
FRという)網で接続して,業務システム及び情報システムを稼働させている。業務シ
ステムのサーバ及び情報システムのサーバは,本社に設置されている。業務システム
及び情報システムサーバはIPを使用している。また, S社では,本社経由でインターネット
に接続し,社外との電子メール(以下,メールという)の送受信やWebへのアクセス
を行っている。最近,社内IT化によって本社内LANのトラフィックが増加し, 
工場及び営業所での応答時間が長くなくットワークの改善が必要になってきた。


図1 S社の現行ネットワーク

IT推進グループのX課長は,部下のY君に,ネットワークの改善を検討するよう命
じた。Y君は,新ネットワークの要件を次のようにまとめた。
・最新の技術を活用し,低コストでネットワークを高速化する。
・工場内及び営業所での業務システム,情報システム及びインターネット利用の応答時
 間を短縮する。

続いて,Y君は,SI業者のZ氏に話を聞いた。次は,Y君とZ氏の会話である。

Y君:新ネットワークの要件を満たすネットワークに再構築したいのですが。
Z氏:それには,最近,アクセス回線が充実してきた広域イーサネットサービス(以
   下,広域イーサという)を導入してはどうでしょうか。従来から利用されてき
   た【 a 】方式のLANには,キャリアの衝突を検出するために距離の制限
   がありました。その後,イーサネットフレームの送受信が同時にできる
   【 b 】通信を可能にする技術を利用したスイッチが開発されました。さら
   に,スイッチ間を光ファイバケーブルで接続することによって,広域イーサは, 
   距離の制限を克服したサービスを可能にしました。
Y君:LANでは,接続している端末やサーバ間で自由に通信ができるので,広域イーサ
   場合,当社と他社との間で,思わぬ端末やサーバ間で通信ができてしまう
   ような不都合はないですか。
Z氏:IEEE 802.1Qで規定されているタグVLANの技術を拡張した機能によって,契
   約者ごとに【 c 】を構成するので問題ありません。IEEE802.1Qでは、イ
   ーサネットフレームに4バイトのタグを付加して、タグ中の【 d 】ビッ
   トのVIDを用いて,4096のVLANを識別できるようになっています。
Y君:分かりました。新ネットワークはどのようになりますか
Z氏:アクセス回線を高速化して,図2に示すようなネットワークになります。工場
   及び営業所のアクセス回線には,ADSLを用います。


図2 S社の新ネットワーク

Y君:インターネットヘの接続が変更されていますね。
Z氏:インターネットヘは,IGWを利用して直接広域イーサ網から接続しています。
   このことによっても,工場及び営業所のインターネット利用の応答時間を改善
   できます。IGWではFW,プロキシサーバ及びメールサーバを利用できます。
Y君:分かりました。それでは,業務システムの応答時間はどのようになりますか。
Z氏:応答時間は,端末での要求データの送信開始から,サーバからの応答データの
   端末での表示開始までの時間とします。その中には,端末やサーバでの処理時
   間,伝送時間及び待ち時間が含まれます。ここでは,新ネットワークになった
   ときの変更部分について,広域イーサ網の網区間の往復時間とアクセス回線
   伝送時間を考えましょう。
Y君:広域イーサ網の網区間の往復時間はどのぐらいですか。
Z氏:広域イーサ網の負荷によって変動しますが,網区間の往復時間を平均35ミリ秒
   以下と考えればいいでしょう。この数字は,各通信事業者がサービス品質を保
   証するために,【 e 】と呼ばれる契約の一部として公表しています。
Y君:次に,アクセス回線の伝送時間ですが,端末の要求データを100バイト,サー
   バからの応答データを4,000バイトとして計算してみてください。
Z氏:厳密に言うと,データにはヘッダなどが付加されて伝送されます。また,TCP
   で考えると,コネクションの確立や,応答パケットなどデータパケット以外の
   伝送時間も考慮しなければなりません。ここでは簡単に,データ長を回線速度
   で割って伝送時間を求めます。そうすると,工場又は営業所のアクセス回線
   は,端末の要求データの伝送時間が,1.6ミリ秒になります。ただし,待ち時間
   やビット誤りによる再送時間は無視しています。
Y君:なるほど。同じく工場又は営業所のアクセス回線では,サーバからの応答デー
   タの伝送時間が,次の計算式のようになりますね。
    伝送時間(秒)=4,000×8 ÷ ( 【 f 】×10^3)
Z氏:応答時間は100ミリ秒以下と期待でき,FR網のときに比べて改善されると思い
   ます。ただし,ADSLは,速度性能に影響を与える要素が幾つかあるので,注
   意が必要です。
Y君:分かりました。最後に,料金はどのようになりますか。
Z氏:表に従って計算すると,本社では,月額350,000円になります。
Y君:工場又は営業所1か所当たりの料金は,月額【 g 】円になりますね。今
   回のケースでは,IGW利用料を考慮しても,FR網を高速化する場合より安く
   済みそうです。

広域イーサ料金表(抜粋)
                                                        単位 円

料金項目 品目又は種別 月額料金 備考
中継網通信料 100Mbpsまで 1,000,000 1アクセス回線当たり
10Mbpsまで 300,000 1アクセス回線当たり
1.5Mbpsまで 50,000 1アクセス回線当たり
アクセス回線使用料 光ファイバケーブル 40,000 1回線当たり
ADSL 25,000 1回線当たり
回線終端装置使用料 光ファイバケーブル用 10,000 1台当たり
ADSL 1,000 1台当たり
IGW利用料 インターネット接続速度 2Mbps 200,000 FW,プロキシサーバ及びメールサーバ
の利用料を含む。

注 中継網通信料はアクセス回線の品目と同じ品目の料金とし,全国一律である。

こうして,Y君は,新ネットワークの要件を満たす広域イーサの検討を進め,新ネ
ットワークヘの移行について,配線設備の確認及び移行当日の作業手順なども改善案
に加えて,X課長に報告した。


設問1

本文中の【 a 】〜【 e 】に入れる適切な字句を解答群の中から選び, 
記号で答えよ。


解答群
 

    8 イ  12 16 CSMA/CA CSMA/CD
FDDI QoS SLA VPN サブネット
セション 全二重 多重化 同期 半二重

設問2

本文中の【 f 】,【 g 】に入れる適切な数値を答えよ。

設問3 

ADSLに関して,速度性能に影響を与える具体的な事項を二つ挙げ, それぞれ
15字以内で述べよ。

設問4

新ネットワークヘの移行が,工場及び営業所に与える影響に関する次の問いに
答えよ。

(1)工場及び営業所のブラウザにおいて,変更すべき設定内容を,50字以内で具
   対的に述べよ。

(2)工場及び営業所において, インターネット利用の応答時間が改善される理由
   を三つ拳げ,それぞれ20字以内で述べよ。 

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