テクニカルエンジニア(ネットワーク)過去出題問題

 平成14年 午後1 問4

最終更新日 2006/02/27
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Tomのネットワーク勉強ノート
 過去問(午後)
   テクニカルエンジニア (ネットワーク)過去問(午後)
     テクニカルエンジニア(ネットワーク)過去問 平成14年 午後1 問4

問4
電子メールシステムの運用に関する次の記述を読んで、設問1〜4に答えよ。

国内向けの旅行業を営むE社は、旅行ガイドのホームページを開設しており、携帯
電話からの利用も可能にしている。ホームページを見た人から会員登録をしてもらい、
会員特典として、インターネットから旅行の予約をした場合の割引とメールマガジン
め"旅ガイド"の定期配信を実施している。登録会員数は、約2,000人である。

E社は、図1に示すように、Webサーバ及びメールマガジン用メールサーバ(以下、
MMサーバという)をインターネットに接続している。社内には、社内メールサーバ、
業務サーバ及び開発用サーバがある。開発用サーバは、各サーバの予備にもなる。社
外と電子メール(以下、メールという)の交換を行う場合、MMサーバが社内メール
サーバとインターネットとの中継を行う。



図1 E社のシステム構成

会員への"旅ガイド"の配信は、E社の担当者がメールクライアントソフトウェア
(以下、メーラという)を用いて行う。運用手順は、次のとおりである。

メールアドレス登録〕

@ E社の担当者が、入力された会員登録情報のメールアドレスについて、フォーマ
  ットチェックを行う。
A メーラのアドレス帳にメールアドレスを手作業で追加する。

メールマガジン配信〕

@ E社の担当者が、定期的に"旅ガイド"を作成し、メールの本文にする。
A メーラを起動し、アドレス帳からメールアドレスを複数取り出して【 ア 】
  に挿入する。メール本文と併せて、MMサーバに直接送信する。これを、全メール
  アドレスについて繰り返す。

最近、表に示すトラブルが発生した。

表 トラブルの内容のまとめ

ケース 内容
1 E社の担当者が、アドレス帳のメールアドレスを誤って【 イ 】に挿入し、送信し
てしまった。登録会員から、"メールアドレスが他人に知られてしまった"との苦情が寄
せられた。
2 配信不能を通知する大量のメールがMMサーバに送られてきたので、メールの処理が遅
くなった。
3 携帯電話を使用している登録会員から、"メールが配信されない"との苦情が多く寄せら
れるようになった。
4 "旅ガイド"の送信が行われている日中の勤務時間帯において、E社の社員の社外と交
換するメールが、通常より遅延することがあった。

E社のシステム部のG君は、上司から、トラブルの再発防止に早急に取り組むよう
指示を受けた。G君は、サーバの設置やインターネットの接続を依頼したSI業者の
担当者であるH氏を呼んで、相談した。

G君:ケース1のメールアドレスの流出についてですが、二度とミスをしないための
   対策を立てたいのですが。
H氏:登録会員数が多くなった今では、ミスが起きやすいといえます。対策として、
   大規模なメール配信を誤りなく、自動化も含めて効率的に運用するために、メ
   ール配信用ソフトウェアが必要です。
G君:続いて、ケース2についてですが、図2のF社から送られてきた配信不能の通
   知メールメールヘッダを見ると、【 a 】が我が社のものなので、我が
    社から送られたように見えますが、我が社にabc123なるユーザ名は実在しま
   せん。

Received : from SMTP.F-company.co.jp([IPアドレス])
by mail.E-company.co.jp with... ; 20 Oct 2002 12:35:12 +0900
Received : from local host by SMTP.F-company.co.jp([IPアドレス])
with... ; 20 Oct 2002 12:34:57 +0900
From : postmaster@F-company.co.jp
To:abc123@E-company.co.jp
Date:20 Oct 2002 12:34:56 +0900
Message-ID:...
Subject: Undeliverable:元のメールのSubjectを引用

図2 F社から送られてきた配信不能の通知メールメールヘッダ

H氏:この件は、無関係な第三者によるメール送信である旨の説明をホームページな
   どで周知されることをお勧めします。また、既にF社の協力を得て、F社に送
   られた元のメールヘッダ(図3)が入手できていますので、メール送信に使わ
   れたISPに送信者の追跡を要請することも可能です。

Received:From zzzzz([IPアドレス]) by SMTR.F-company.co.jp with ...
for < someone@F-company.co.jp>;20 Oct 2002 12:34:05 +0900
Received:from xxxxx([IPアドレス])
by zzzzz with ... ; 20 Oct 2002 12:34:00 +0900
From:【 b 】
To:someone@F-company.co.jp
Date:20 Oct 2002 12:34:00 +0900
Message-ID:...
Subject:...

図3 F社に送られた元のメールヘッダ

G君: 今回は、業務への大きな支障はなかったのですが、再発が心配です。
H氏: そうですね。実際、送信者アドレスに実在の【 a 】が使用された大量の
   迷惑メールが送信されると、配信不能を通知するメールが大量に返されます。
   そのため、該当するメールサーバの負荷が増大して、メールの送受信の大幅な
   遅延になることもありえます。後日、対策を提案したいと思います。
G君: では、ケース3や4はどうでしょうか。回線には、特に障害がないことを確認
   しました。
H氏: まず、ケース3についてご説明します。最近、迷惑メールが社会問題になって
   いるので、携帯電話事業者は、インターネットから携帯電話へ大量にメール
   送信する者がSMTPで【 c 】を頻発するような場合、それ以降の受信を
  拒否できるようになっています。ログによれば、御社も【 c 】がかなり
  多く出ています。この原因として、会員が登録するメールアドレスの入力間違
  いや、メールアドレス変更時の連絡がないといったことが考えられます。また、
  ケース4については、社内でのメールの交換に異常がなく、"旅ガイド"の送
  信中に現象が出ていますので、【 d 】の負荷が高くなったことが原因と
  思われます。【 d 】の夜間の稼働率は低いので、運用上の工夫をすれば、
  すぐに対策が実施できると思います。また、可能であれば、システム変更を行
  い、対策を施すことも考えられます。
G君:ケース3とケース4について、今すぐ運用の見直しを実施したいと思います。


設問1

本文中及び図中の【 a 】〜【 d 】に入れる適切な字句を答えよ。

設問2

メールヘッダに関する次の問いに答えよ。

(1)本文中の【 ア 】、表中の【 イ 】に相当するメールへッダのフィ
  ールド名を答えよ。

(2)図3において、迷惑メールの送信者情報を示すと考えられるメールヘッダの
  フィールド名を答えよ。また、それから分かる送信ホスト名を答えよ。

(3)図2中のToフィールドに示されたメールアドレスは、社内メールサーバに
  存在しないので、エラー処理を行う。このとき、作成されるメールの受信者に
  用いるべきメールアドレスを答えよ。

設問3

表中のケース3のトラブルヘの対策として、登録会員のメールアドレスの取扱
いを見直したい。次の問いに答えよ。

(1)〔メールアドレス登録〕の@とAの間で行うべき作業を、50字以内で述べ
  よ。

(2)会員登録時のメールアドレスの入力間違いを減らすためのホームページの工
  夫を、40字以内で述べよ。

設問4

表中のケース4のトラブルヘの対策に関する次の問いに答えよ。

(1)H氏のいう運用上の工夫を、30字以内で述べよ。
(2)システム変更による対策として有効な方法を、50字以内で述べよ。

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