テクニカルエンジニア(ネットワーク)過去出題問題

 平成13年 午後1 問2

最終更新日 2004/01/24
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Tomのネットワーク勉強ノート
 過去問(午後)
   テクニカルエンジニア (ネットワーク)過去問(午後)
     テクニカルエンジニア(ネットワーク)過去問 平成13年 午後1 問2

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携帯機器を利用した営業システムの拡張に関する次の記述を読んで、設問1〜3に
答えよ。

E社では、業務サーバとWebサーバを用いて営業情報を管理している。この営業
システムは、営業員に商品、納期及び顧客の情報を提供する。社内からの利用では、
パソコン(以下、PCという)のクライアントソフトウェアから業務サーバにアクセ
スする。一部の営業員は、社外からも利用しており、ノート PCのプラウザから
HTTPを用いてWebサーバにアクセスする。このときWebサーバは、業務サーバと
通信しながら動的にHTMLを用いた画面を生成する。また、更新頻度が少ない一部
の情報(以下、ローカルデータという)は、外出先で参照できるように、社内であら
かじめノートPCにダウンロードする。
現在、E社では、この営業システムの拡張を検討している。アクセスの準備に時間
がかかるノートPCに替えて、新しい携帯機器を利用する。その候補として、データ
表示機能付きの携帯電話機(以下、携帯電話という)と、PDA(パーソナルディジタ
ルアシスタント)が挙がっている。また、すべての営業員が社外から営業システムを
利用できるようにする。
図に営業システムのネットワーク構成を示す。

図 営業システムのネットワーク構成

社内LANは、プライベートアドレスを利用しており、IPフィルタリングを利用し
ファイアウォールを介してインターネットと専用線で接続されている。また、PHS
網とは、DMZにあるRASを介して接続されている。RASは、利用している営業員に
見合う数のポートをもっている。
新しい携帯機器は、固有形式の画面データを用いるので、HTMLの画面データを
その形式の画面データに変換するためのGWサーバが必要である。GWサーバと新し
い携帯機器間の通信データ量は、HTMLとHTTPを用いた現行の通信データ量の
50%に圧縮される。携帯電話を使う案では、通信サービス事業者のGWサーバ1を
使う。PDAの場合は、社内にGWサーバ2を設置する。
携帯電話は、データを蓄積できないので、ローカルデータの扱いが問題になる。一
方、PDAは、ローカルデータを内蔵メモリに記憶できる。また、表1に示す外部イ
ンタフェースをもっている。

表1 PDAの外部インタフェース

種別  インタフェース名
内蔵 IrDA(IrDAの定めたSIR、IrLAP、IrLMPなどの規約)
TIA/EIA-232-E
外付 PIAFS(PHS Internet Access Forum Standard)
ITU-T V.34

〔通信費用〕
E社は、新しい携帯機器用の照会画面をHTMLを用いて試作し、Webサーバ上の
試作画面にノートPCからアクセスして、表2に示すデータを得た。このデータを用
いて通信費用を算定する際には、いずれの携帯機器でも、その通信時間は表2と同じ
であると仮定した。ネットワークサービスの通信費用は、表3のとおりである。

表2 照会業務1回に要する通信時間とデータ量

項目 時間又はデータ量
通信時間(PHS網の呼の確立から切断まで) 90秒
上り(ノートPCからWebサーバヘの)データ量 1,280バイト
下り(WebサーバからノートPCへの)データ量 6,400バイト

表3 ネットワークサービスの通信費用

項目 携帯電話網 PHS網
通信料金(変動費) 0.3円/128バイト 10円/60秒
基本料金(固定費) 3,700円/月 2,700円/月

〔案の比較〕
次は、検討を任されたネットワーク技術者のF君と上司のG氏との会話である。

G氏:携帯電話やPDAでローカルデータは扱えそうかね。
F君:携帯電話は、ローカルデータを蓄積できないので、必要な場合にはその都度社
   外から業務サーバのデータを参照することになります。
G氏:PDAを使う場合もそうするのかね。
F君:いえ、PDAのメモリに蓄積します。ローカルデータは、そのすべてが毎日変
   更されるわけではありません。PDAでは、いったん営業員のPCに取り込ん
   だデータをPDAへ転送しますが、そのとき、データ圧縮と【 a 】を組
   み合わせてデータ伝送量を削減します。試算では、1回当たりのデータ伝送量
   は、全ローカルデータの1/100程度になります。
G氏:PDAには、いろいろなインタフェースがあるようだが、説明してくれないか。
F君:IrDAは、【 b 】を使ったデータ通信の規格です。TIA/EIA-232-Eは、
   元々はDTEと【 c 】の間のインタフェースです。PDAを利用する場合、
   社内ではIrDAを使います。社外では、PHSに特化した通信規約であるPIAFS
   か、【 d 】の規格であるITU-V.34のいずれかを利用することになりま
   す。既に半数の営業員は、この二つのうち、ディジタル通信である【 e 】
   のインタフェースカードをノートPCで使っています。PDAを使う案では、
   そのカードを流用できるようにし、RASへの接続や発信者認証は、ノートPC
   と同じ仕組みを利用する予定です。
G氏:今後は、営業員全員が使うことになる。そうなると、通信費用が心配だ。
F君:照会1回当たりの通信費用を算定しました。利用量が多い場合には、携帯電
   話の方が割安になりそうです。
G氏:次に、既存のネットワークヘの影響を聞きたい。
F君:両方の案とも、【 f 】の設定変更が必要です。【 g 】を使う案では、
   同時にWebサーバのIPアドレスの変更と移設が必要です。もう一方の案では、
   この変更は必要ありません。
G氏:ほかには何かあるかね。
F君:今後、現在の数倍のアクセス数が予想されます。業務サーバ、Webサーバ及
   びファイアウォールの処理能力は十分です。しかし、携帯電話を使う場合、イ
   ンターネットヘのアクセス回線がボトルネックになります。利用率によっては、
   社外からデータ照会するときの応答時間が問題になります。その際には、イン
   ターネットヘのアクセス回線を高速化する必要があります。PDAを使う案で
   は、(以下省略)。
G氏:概略は分かった。営業員に計画を説明した後、システム拡張を具体化しよう。


設問1

通信インタフェースに関する次の問いに答えよ。

(1)本文中の【 a 】〜【 e 】に入れる適切な字句を答えよ。

(2)Webサーバは、TCP/IPによって携帯機器と通信を行うが、その際TCPコネ
  クションは、どの機器との間で確立するか。ノートPCを使う場合、PDAを
  使う場合のそれぞれについて、図中の機器名を答えよ。

設問2

本文中の記述を基にして、照会に必要な通信費用に関する次の問いに答えよ。

(1)携帯電話を使う場合の1回当たりの通信料金を求めよ。

(2)PDAを使う場合の1回当たりの通信料金を求めよ。

(3)表3に示す通信費用だけを比較したとき、営業員1人が1か月に何回以上
  社外からの照会を行えば、携帯電話の通信費用の方がPDAの通信費用より安
  くなるか。その回数を求めよ。

設問3 

既存のネットワークヘの影響に関する次の問いに答えよ。

(1)【 f 】、【 g 】に入れる適切な字句を答えよ。

(2)【 g 】を使う案では、Webサーバのアドレス変更と移設をどのように
  すればよいか。具体的な理由とともに60字以内で述べよ。

(3)PDAを使う場合、アクセス数の増加によって生じるボトルネック、利用者
  への影響及びその対策を40字以内で述べよ。

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