テクニカルエンジニア(ネットワーク)過去出題問題

 平成12年 午後1 問2

最終更新日 2004/01/28
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Tomのネットワーク勉強ノート
 過去問(午後)
   テクニカルエンジニア (ネットワーク)過去問(午後)
     テクニカルエンジニア(ネットワーク)過去問 平成12年 午後1 問2

問2

フレームリレー網による広域ネットワークの見直しに関する次の記述を読んで、設
問1〜4に答えよ。

Q社は、中堅の証券会社で大阪に本店があり、近畿一円に支店1から支店5まで
の5支店と、営業所1から営業所20までの20営業所がある。社員数は、本店が100
人、支店及び営業所が総勢200人である。Q社の基幹業務システムは、本店のホス
トコンピュータ(以下、ホストという)と支店及び営業所の端末、その間を結ぶフレ
ームリレー網(以下、FR網という)で構成されている。
このたび、事業強化に対応して、支店1と支店2の規模を拡大し、情報系業務シ
ステムとしてグループウェアを全社に導入することになった。グループウェアサーバ
を本店に設置し、社員全員にクライアントパソコンを配布し、電子メールと電子掲示
板が利用できるようにする。この結果、現在のFR網のトラフィックの増加が予想さ
れるが、基幹業務システムの応答時間を確保し、通信料金の大幅な増額を避けるため、
ネットワークを見直すことにした。
情報システム部門のS課長は、部下のR君にネットワークの現状分析と設計条件を
まとめ、その上で新ネットワークの設計を行うように命じた。現状のネットワーク構
成を図に、FR網の論理パス(以下、PVCという)の設定を表に示す。


図 Q社基幹業務システムのネットワーク構成

表 論理パス(PVC)設定表

番号 起点 終点 CIR
(ビット/秒)
機器名称 DLCI 機器名称 DLCI
1 本店FRAD 16 支店1FRAD 16 32k
: : : : : :
5 本店FRAD 20 支店1FRAD 16 32k
6 本店FRAD 21 営業所1FRAD 16 16k
:   : : : :
25 本店FRAD 40 営業所20FRAD 16 16k

注 DLCI:データリンクコネクション識別子
CIR:認定情報速度

次に、R君はネットワーク設計条件をまとめた。

(1)情報系業務システムの通信速度

電子メールと電子掲示板の情報量とアクセス回数を考慮して、情報系業務システ
ム用に、支店1及び支店2では40kビット/秒程度、そのほかの支店では20kビ
ット/秒程度、営業所では5kビット/秒程度の通信速度を確保する。

(2)通信プロトコル

グループウェアサーバとクライアントパソコン間の通信プロトコルはTCP/IPで
ある。基幹業務システムにおけるホストと端末間の通信はHDLC手順である。

(3)FRADの機能

FRADは、X.21インタフェースをもち、【a】をITU-T Q.922フレームに
変換する機能をもつ。さらに、FRADは、IEEE802.3インタフェースをもち、IP
データグラムをQ.922フレームに変換する機能ももつ。

報告を受けたS課長は、"現状の基幹業務システムでは、本店のCIR合計速度は
【b】kビット/秒だが、多くの支店及び営業所で端末が【c】された
ら、応答時間が悪化しないかね"と、R君に尋ねた。R君は、"FR網移行前は、9.6
kビット/秒の専用線を、支店及び営業所の端末台数に応じて1〜3本利用していま
した。移行当時、1端末当たりの通信速度を、2.4kビット/秒と見積もって、CIRを
通信業者の提供する品目から選んで決めました。フレーム長を500バイトとすると、
CIRが32kビット/秒なら、例えば1秒間に【d】フレームまで連続して伝
送できます。支店は別として、全営業所の全端末が【c】される可能性は低
いので、接続回線速度は現状の速度になっています。実際、応答時間が悪化する現象
は発生しせいません"と答えた。再度、S課長は、"しかし、情報系業務システムの
追加によって、基幹業務システムの応答時間が悪化するのは防止しなければならない。
対策は考えられるかね"と、R君に尋ねた。R君は、"本店の接続回線速度を上げ、
FR網のPVCを分ければ良いと考えています"と答えた。
そこで、R君は次の方針でネットワーク設計を行い、巻末付表を用いて通信料金に
ついても算定した。

[すべてFR網を利用する案]

(1)FRAD間にPVCを追加設定する。DLCI値は、既存のPVCについては変更しな
  い。追加のPVCについては、既設DLCI値の次の番号から連続して割り当てる。

(2)CIR合計速度が接続回線速度を超えないように、必要に応じて、接続回線のスピ
  トドアップを行う。

(3)(1)、(2)の条件に基づいて、通信料金を算定する。

報告を受けたS課長は、"通信料金の増加を抑えるため、FR網にとらわれず支店
によっては専用線が良いのではないか"と、再検討を指示した。R君は、監視機能の
省略などサースグレードは従来の専用線より劣るが、安価なことから利用が伸びて
きている。エコノミ専用線サービスを検討することにした。本店との距離は、支店1
及び支店2がそれぞれ10km以内、そのほかの支店は20km〜40km、営業所は
いずれも30km超であった。

[一部の回線を専用線にする案]

(1)本店に近い支店1と支店2を、エコノミ専用線利用に変更する。このとき、ル
  ータを追加導入する。

(2)支店1と支店2の基幹業務システムム及び情報系業務システムには、エコノミ専
  用線を使用する。残りの3支店と営業所の両業務システムには、FR網を使用する。
  FR網の利用条件は[すべてFR網を利用する案]の(1)、(2)に従う。

(3)(1)、(2)の条件に基づいて、通信料金を算定する。
  料金計算の結果、[すべてFR網を利用する案]に比べ、月額10万円余り減額でき
  ることが分かった。最終的に[一部の回線を専用線にする案]を採用した。


設問1

本文中の【a】、【c】に入れる適切な字句を、それぞれ10字
以内で答えよ。また、【b】、【d】に入れる適切な数値を答えよ。

設問2

基幹業務システムのPVC設定において、本店FRADから営業所1FRADに向
けて送出きれるフレームのアドレス部に含まれるDLCI値について、例にならっ
て、解答欄の表を完成させよ。

(例)支店1FRADへのフレームのアドレス部(2オクテットとする)

  ビット          
  7 6 5 4 3 2 1 0
第1オクテット 0 0 0 0 0 1 * *
第2オクテット 0 0 0 0 * * * *

*ほかで使用

設問3

[すペてFR網を利用する案]において、本店FRADの接続回線の最低通信速
度を答えよ。巻末付表4の接続回線月額使用料に示された中から答えを選ぶこと。
また、新たに設定するPVCのCIR選択に当たっては、表の注に留意すること。

設問4

[一部の回線を専用線にする案]について、次の問に答えよ。計算に当たっ
ては、巻末付表4、5を用いること。

(1)エコノミ専用線の採用について、本店の設備上、事前に確認すべき事項を
  15字以内で述ペよ。

(2)支店1と支店2のエコノミ専用線の基本回線使用料の合計は月当たり幾ら
  か。また、DSU使用料の合計は月当たり幾らか。

(3)本店FRADの接続回線のCIR合計速度は幾らか。

(4)本店FRADの接線回線月額使用料とPVC月額使用料の合計は幾らか。

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