テクニカルエンジニア(ネットワーク)過去出題問題

 平成8年 午後1 問5

最終更新日 2004/01/24
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Tomのネットワーク勉強ノート
 過去問(午後)
   テクニカルエンジニア (ネットワーク)過去問(午後)
     テクニカルエンジニア(ネットワーク)過去問 平成8年 午後1 問5

問5

マルチメディアネットワークの構築に関する次の記述を読んで、設問1〜4に答えよ。

M社は印刷出版会社で、東京と大阪に拠点をもち、東京に約60人、大阪には約40人の従業
員がいる。M社は東京と大阪それぞれにLANを構築し、ページ編集システムを導入してい
る。顧客から依頼を受け、このシステムを使って印刷物の編集及び制作を行っている。印刷
物に使う原稿(記事や写真など)は紙やフィルムなどの形態で顧客から入手し、校正を行う
場合はファクシミリを使用するか顧客先で打ち合わせをする。
東京と大阪のページ編集システムはともに図1に示す構成で、パソコン(以下、PCとい
う)の台数は、東京が21台、大阪が16台である。



図1ページ編集システムの構成

[現在のページ編集システムの概要]
(1)LANは10BASE5を使用している。
(2)編集サーバは原稿データ(文字やイメージデータ)を蓄積、管理する。このアクセス
管理のために、編集サーバのデータはOODB(object-oriented database)による特殊
なデータ構造をとっている。
(3)PCは会話型のページ編集処理をする。スキャナ装置は写真を入力し、プリンタ装置
は校正用のハードコピーを出力し、フィルム出力装置は最終の編集結果をフィルムに出
力する。
(4)東京と大阪は別々に作業状況の工程管理をしており、ページ編集の作業状況が把握さ
れている。作業状況のデータは、編集サーバに格納されており、PCからみることがで
きる。

[ネットワーク活用と納期短縮]
これまでは、顧客から大量で急ぎの制作依頼があると、拠点内の従業員だけでは人手
不足となるため、人材派達会社や外部委託に頼って業務量をこなしてきた。最近、競争
激化によって1ページ当たりの制作受注単価が低下し、業務量の増加対策が必要になっ
ている。そこで、ネットワークを活用し、これまで人材派遣会社や外部委託に依存して
きたページ編集作業を東京と大阪で分担し、納期短縮を図り顧客へのサービスを向上し
たい。これを実現するために、現行のページ編集システムにネットワーク機能を加え、
東京と大阪との間でページ単位に原稿データを転送し、ページ編集作業の分担が行える
ようにしたい。

[ネットワーク利用による連携]
M社はネットワークによるページ編集作業の分担を可能にするため、図2に示すよう
なネットワーク利用による連携システムの構築を検討した。



図2 ネットワーク利用による連携システム

(1)回線はISDNを使用する。
(2)イメージデータを効率よく転送するためデータを圧縮して転送する。
(3)東京と大阪で同一ページについて共同編集ができるようにする。仕事の特性として微
妙なレイアウト編集があり、試行錯誤的な作業になるので、電話とファクシミリだけで
は共同編集に限界がある。このため、ページ編集システムとビデオ会議(音声と動画像)
とを併用し、東京と大阪との間でページ編集処理に必要な原稿データの転送とビデオ会
議とが同時に行えるようにする。
展示会で、AV機能(音声と動画像が扱える機能)が付いたPC(以下、AV-PCとい
う)を使用したビデオ会議と共有ウィンドウによる共同作業のデモンストレーションを
見た。回線速度は64kビット/秒で、コマ落ちがあり多少ぎこちなさはあるが、微妙な
レイアウト編集の確認には使えると判断した。
(4)ページ編集作業は工程管理されており、編集サーバへのアクセスは、東京及び大阪の
自拠点内にあるPCからだけ可能である。システム構築に際し、編集サーバには変更を
加えたくない。このため、東京と大阪にサーバを導入し、依頼元(例えば東京拠点)
は原稿データをPCサーバ経由で依頼先(例えば大阪拠点)に転送する(図2の@)。そ
して、依頼先で分担作業した結果をPCサーバ経由で依頼元の編集サーバに格納できる
ようにする(図2のA)。
東京と大阪との間で転送する原稿データの量を表に示す。

表 東京と大阪との同で転送する原稿データ量

@ 平均データ量/ページ 
    この内、平均文字データ量/ページ 
    この内、平均イメージデータ量(プレビュー画像)/ページ 
A 繁忙期のピーク時の転送ページ数/時間 
注 Aにはページ編集済みデータの転送も含む。
287×10^3バイト
17×10^3バイト
270×10^3バイト
1,500ページ

設問1

M社が使用する原稿データの効率的な伝送に関し、次の文章中の【 a 】〜【 c 】
をそれぞれ10字以内の適切な字句で埋めよ。

データ量が大きい画像データを短時間で効率よく伝送するには、画像データの圧縮が
必要になる。ディジタル画像データの圧縮に用いる符号化方式は大きく二つある。一つ
は、圧縮された画像データを完全に元に復元することができる【 a 】符号化方式であ
るが、データの圧縮効率に限界がある。もう一つは、圧縮データを完全に元には復元で
きない【 b 】符号化方式である。これは、人間の目にはさほど気にならない程度の品
質の劣化はあるが、高い圧縮効率が得られる。M社が必要としている多値の静止画像デ
ータの符号化接術には、国際標準の【 c 】があり、DCT(Discrete Cosine
Transform:離散余弦変換)やDPCM(Differential PCM)方式が使われている。

設問2
ISDNを使用し、東京と大阪との間のデータ転送にかかる時間とBチャネル本数を試
算せよ。回線上の伝送効率は0.8とし、サーバの処理時間は無視して答えよ。時間は四
捨五入し、秒単位で小数第2位まで求めよ。

(1)1ページ分のデータをBチャネル1本で転送する場合(イメージデータは非圧縮)
のデータ転送時間

(2)1ページ分のデータをBチャネル1本で転送する場合(イメージデ←タは1/5圧縮)
のデータ転送時間

(3)繁忙期ピーク時の転送ページ数を1時間で転送し終えるためのBチャネル本数(イ
メージデータは1/5圧縮)

設問3

ネットワーク利用による連携システムを構築する場合の検討すべきことに関する次の
小問に答えよ。

(1)ページ編集システムの構成を考慮して、PCサーバが編集サーバとの関係でもつべ
き機能を二つ挙げ、それぞれ20字以内で述べよ。

(2〉PCサーバに対する外部からの不正アクセスを回避するために、効果的な方法を三
つ挙げ、それぞれ10字以内で述べよ。

設問4

ISDN基本インタフェースを使ったネットワーク接続について、M社の1か月当たり
の通信料金を求めよ。ただし、1か月は平日の22日とし、伝送効率は0.8とする。答え
は四捨五入して千円単位で求めよ。

(1)昼間に1日当たり360ページの原稿データ(イメージデータは1/5圧縮)を連続して
転送する。このときISDNサービス(Bチャネル1本)の月額通信料金は幾らか。

(2)(1)に加えAV-PCでISDNサービス(Bチャネル1本)を平日に毎日連続して3時
間使用すると、M社の1か月の通信料金は幾ら増えるか。

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