基礎6(机上演習:DNSなど)
(iTAC テクニカルエンジニア(ネットワーク)塾 Sコース 6回目 講義ノート)

最終更新日 2006/05/02
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 iTAC テクニカルエンジニア(ネットワーク)塾講義ノート 
   Sコース(全15回)  
     6回目---基礎6  机上演習:DNSなど 

iTAC塾講義ノート

コース名

テクニカルエンジニア(ネットワーク)塾Sコース6回目(大阪)

講師

みずおか先生

日時

2000年5月26日

10:00〜17:00

場所

クレオ大阪東 研修室

内容

基礎6(机上演習:DNSなど)

 

(概要)

今回の講義は、LANのネットワークインターフェース、インターネット層の基本的なところの整理として、

午前中に
・Ethernet概要
・LANネットワークの発展経緯

午後からは、接続機器について
・リピータ
・ブリッジ(スイッチング技術、スパニングツリー機能、ブリッジの種類、転送方式)
ルータ(スタティックルーティングとダイナミックルーティング、RIP、EGPsとIGPs、リンクステート型と距離ベクトル型)

について講義がありました。

以下にその内容をまとめます。


Ethernet(IEEE802.3)について(マスタリングTCP/IP P.80)

EthernetはXeroxのPARC研究所でDr.メトカフによって開発されました。

ハワイ大学は、島ごとにキャンパスがあり、電話線によるネットワークが確立しにくく、電波を使ったネットワークが出来ないかということで研究し、ALOHA-NET(CSMA方式)が開発されました。

☆☆☆ LANの構造 ☆☆☆
 
参考リンク
大阪テクニカルエンジニア(ネットワーク)-Sコース二回目

図1.LANの構造

 

LANはこのように、NICから出た4線を使用し、通信します。

幹線は半二重、支線は全二重方式になります。

☆☆☆ 半二重方式と全二重方式の違い ☆☆☆

道路で言えば、半二重方式は一斜線の道路を双方から行き来します。ですから衝突も起こります。

全二重は二車線道路ですので、衝突を起こさずすれ違うことが出来ます。

☆☆☆ 幹線でのルール(CSMA) ☆☆☆

ここでは、交通整理をするお巡りさんはいません。

線を誰も使っていなければ使用してもいいのです。Carrier Sense

データは、A→Cに送信しても、Cだけでなく電気的に繋がっているA,B,D全てに伝わります。Multiple Access

全ての受信側は、入ってきた送信先アドレス情報(D)に聞き耳を立て、もし自分宛てでなければ(1ビットでも自分のアドレスとずれていれば)無視します。

ここでもし、AからとCからと同時にデータを送信したとしましょう。

当然、半二重なので衝突します。衝突すればそれを検出して一定時間後再送します。Collision Detection

衝突を検出すると、ジャム信号(-2V一定)を出しつづけます。

衝突した双方がジャム信号を出した状態(-4Vで一定)になると、ジャム信号をOFFし、一定時間(Back Off時間:乱数、常習犯ほど長くなるようになっている)後、再送します。

 

では、どうやって衝突を検出するのでしょう?

LANの波形は-2V、0Vです。衝突が起こらなければ、-2V以上にはなりません。

ここでもし、衝突が発生すると、2つの波が総和され、-4Vのところが出てきます。これを検出して判断しています。

☆☆☆ 衝突検出の計算 ☆☆☆

電気の伝わる速さは30万km/秒です。ここで、長さ無限電線で端末A,B間で通信してるとしましょう。

図2はその通信状態を横軸に距離、縦軸に時間を置いた時系列グラフです。

この時、端末BがcarrierをSenseして送信した際、網線で囲った部分でBは衝突を検出できますが、Aでは送信を終えてるので検出できません。

図2 衝突検出に関する時系列グラフ1

 

ですから、衝突を検出できるように、最小フレーム長、ケーブルの長さを決め、絶対に衝突を検出できるようにしています。(図3)

図3 衝突検出に関する時系列グラフ2

10BASE,100BASEでは最小フレーム長は64オクテットです。
では、図3において10Mbpsの線で通信するとA-B間はいくつ以下なら正常に衝突を検出できるでしょうか?

64オクテットのデータを10Mbpsで送信するには、
64×8 / (10×10^6) = 51.2μs

(51.2μs以内にA-B間を往復すればいい)

0.3×10^6(km/秒) × 51.2 × 10^(-6) (秒) = 15.36(km)
15.36/2 = 7680(m)

7680m以内なら衝突を検出することが出来ます。

HUBの遅延時間

では、実際のLANではどうでしょう?10BASE-Tでは最大長100mで、中継できるハブは4つまでです。

つまり、100×5=500mしか伸ばすことが出来ず、先ほどの計算結果7680mと比較して短すぎるように思います。

その原因は、HUBの遅延時間にあります。

この仮定で通信すると、HUBの与えられている遅延時間は何秒でしょうか?

最小フレームでの伝送時間・・・51.2μs

電気の伝送時間は
1(km) / (0.3×10^6)(km/秒) = 3.33μs

遅延時間合計は
51.2-3.33=47.87μs

往復で2回通過するので
47.87/(4×2)=5.98μs

HUB1つに対して6μs遅延時間が与えられています。


LAN発展経緯

LANでのデータリンクは1980年にEthernetを発表して以来、急速に発展してきました。その流れをまとめてみましょう。

☆・・・Xerox側(Dr.メトカフがんばる)

☆・・・IBM側(Dr.メトカフ思い知れ〜〜)

 

☆ Ethernet V.1 ☆ 

1980年、Ethernetの技術をメーカ標準ではなく国際標準にする動きが出てきて、IEEE802委員会が設立されました。
ここで、Ethernetの方式CSMA/CDIEEE802.3で設定されました。

Token Passing 方式

Xerox側に遅れること2年、IBMはEthernetの弱点である衝突を起こさない、Token Passing方式を発表しました。(図4) 

☆ Token Ring 方式(IEEE 802.5) ☆

図4 トークンリング方式(マスタリングTCP/IP P.82 図3.7)

 

トークンリングは単方向通信です。一方通行みたいなものですので、衝突は起きません。

データの流れをして、スーパーの買い物かごをイメージしてください。

空の買い物かごが回ってきたら、荷物(データ)を入れ、あて先(例えばA→C)を付けて送り出すことが出来ます。

A→Cに送ったデータはBがまず受け取ります。しかし、自分宛てでないのでそのまま流します。

Cにかごが回ってきたら、あて先を見て自分当てなので受け取り、「受取書」を入れてまた流します。

Dでも一旦受信しますが、自分に関係の無いデータなのでそのまま流します。

Aは、Cの受け取りを確認してから、かごを空にして元に戻します。

この中の 空の買い物かごのことをフリートークン、荷物が入っている買い物かごのことをビジートークンと言います。

☆ 優先度の設定 ☆

トークンリング方式では優先度(0〜7:数字が大きいほど優先度大)を設定することが出来ます。

例えば、A→C通信中にB(優先度3)とD(優先度7)が送信したいと仮定しましょう。

BはA→Cのビジートークンに自分の優先度3を付けてリングに返します。

Dも同じくビジートークンにBの優先度3に対して自分の優先度7を付け替えてリングに返します。

フリーになったトークンに対してBは送信しようとしますが、優先度のデータが自分以上のものが付いているので送信できません。

そのままフリートークンは通過し、Dが送信することになります。

 

☆ Token Bus 方式(IEEE 802.4) ☆

これは、Ethernetと同じBUS型にしてXeroxのお客さんを引き込むために開発されましたが、あまり売れませんでした。

方法は例えば、4つのPC(A,B,C,D)があって、優先順位が高い順にA,B,C,Dとします。

AからCに送信する場合、Aからフレームを送ると、すべてのPCに繋がっているわけだから当然B、C、Dに伝わります。

しかし、優先順位の高いBしかフレームを受け取れません。

Bは自分宛てじゃないことを確認して流す。それで始めてCが受け取れるのですが、Aがフリートークンを流すまでは

Aが送信してから4回必要となって効率が悪いです。これが50個のPCのネットワークだったら・・・と考えると売れなかった理由が分かるでしょ?


☆ スター型ネットワークの時代 ☆

☆ HUBを使ったスター型の開発(HUBの中身はリング型) ☆

IBMは、この状況を打破するために、HUBを使ったスター型ネットワークを開発しました。

☆ Ethernet V.2 ☆

それに対して、Xerox陣営はDec(今はコンパックに吸収された)、Intelと組んでEthernet V.2を開発して対抗しました。

これは、この3社の頭文字を取ってDIX規格と呼ばれ、IEEE802.3で規格されているEthernet V.1とは異なり、これにより2種類のEthernetが存在するようになりました。

Ethernetフレームフォーマット(DIX規格)

宛先MACアドレス(6) 送信元MACアドレス(6) タイプ(2) データ(46〜1500) FCS(4)

IEEE802.3 Ethernetフレームフォーマット

       
宛先MACアドレス(6) 送信元MACアドレス(6) フレーム長(2) LLC(3) SNAP(5) データ(38〜1492) FCS(4)

図5 Ethernetのフレームフォーマット(マスタリングTCP/IP P.89 図3.12)

2つのフレームフォーマットは昔は互換性がありませんでしたが、今はあります。

DIX規格のEthernetで、10BASE-Tを開発しました。ケーブルはカテゴリ3と使用し、カテゴリ4でHUBを開発したIBMより安価にすることにより格差を付けました。


☆ 光の時代 ☆

☆ 100BASE-Fx ☆

☆ FDDI ☆(マスタリングTCP/IP P.92 〜 94)

FDDIはトークンリングの技術をそのまま持ってきているのが特長です。

また、トークンリング方式での弱点であったトークンが1つしかないことを克服したアペンドトークン方式を使用しています。

☆ アペンドトークンのどこが賢いのか? ☆

フリートークンにデータを入れてビジートークンにすると、そのデータの最後にフリートークンを付加して送信します。これにより、常にフリートークンが1つ巡回するようになりました。(Keywords:パフォーマンス向上!パフォーマンス下がらない!)


☆ 100BASE時代 ☆

☆ 100BASE-Tx ☆

カテゴリ5を使用した100MbpsのEthernetです。FastEthernetと呼ばれることもあります。

フレームフォーマットは、10BASEの時と同じとし互換性を重視しました。

(しかし、通信速度が速くなるに連れて接続する端末間の距離が取れなくなるため、1000BASEからは最小フレーム長を512オクテットにしました。これにより、10/100BASEと1000BASEの互換性がなくなってしまいました。)

☆ 100VG Any LAN ☆(マスタリングTCP/IP P.85)

HPと共同開発

(VG: Voice Grade 音声グレード)一つの電話線でデータも音声もどっちでもOKのネットワークにしました。

HUBをカテゴリ4で開発したときにはXerox側にカテゴリ3で開発され、お客さんを取られてしまいました。

今回は逆に、カテゴリ5で100BASE-Txを開発したXeroxに対して、カテゴリ3で開発し、

「通信速度を100Mbpsに上げるために高いカテゴリ5のケーブルを買うのでしたら、カテゴリ3のままで100Mbpsに上げれるこちらへどうぞ」

を宣伝文句にお客さんを引き込もうとしました。(ちなみに100VG Any LANのAnyは トークン方式でもEthernetでもどちらでもOKの意味です)

しかし、IBM+HP側に大きな誤算が発生しました。

カテゴリ5ケーブルの量産により価格が下がり、カテゴリ3のコストメリット無くなってしまったのです。

これにより、100VG Any LANに変えるためにHUBを買うより、ケーブルを買うほうが得になり、また、10Mbps,100Mbps双方を抱える企業では、互換性がある100BASE-Tの方が投資も少なくて済むので、Xerox側に有利になりました。



☆☆☆ 接続機器について ☆☆☆

リピータ

[PC] [リピータ] [PC]
| |     | |
・-+-- --- ---+     +--- --- --+-・
|<---500m--->|     |<---500m--->|

図6 10BASE5の場合

 

リピータは物理層での電気信号の増幅に用いられる。


ブリッジ

[Switching HUB]
| |
   +-- --+       +-- --+    
| |
[   H  U  B   ] [   H  U  B   ]
| | | | | |
[PC] [PC] [PC] [PC] [PC] [PC]

図7 スイッチングHUBを使ったネットワーク構成

 

スイッチング技術(マスタリングTCP/IP P.101)

スイッチングHUBLearning機能については大阪テクニカルエンジニア(ネットワーク)-Sコース二回目

スイッチングHUBを用いたネットワークにおいて、やってはならないこと・・・
それは、ループを作ることです。

[A] [スイッチングHUB<A>] [B]
| |PORT1 PORT2| |

[  H  U  B  ]    

[  H  U  B  ]    
|PORT1 PORT2|
[スイッチングHUB<B>]
図8 スイッチングHUBのループ

 

図8のような、ループのあるネットワークを考えます。
PC(A) → PC(B) に送信する場合、HUBを中継して、スイッチングHUB<A>、<B>双方に流れます。

スイッチングHUB<A>   スイッチングHUB<B>
MACアドレス ポート番号 MACアドレス ポート番号
A 1 A 1

スイッチングHUB<A><B>それぞれ、表のようにアドレステーブルを作成してPORT2へと送信します。

スイッチングHUB<A>のPORT2から出たフレームはPC[B]に到着すると共にスイッチングHUB<B>にも入ります。
すると、スイッチングHUB<B>はスイッチングHUB<A>の情報をアドレステーブルを書き加えてから、PC[B]のアドレスを参照します。

スイッチングHUB<A> スイッチングHUB<B>
MACアドレス ポート番号 MACアドレス ポート番号
A 1 A 1
A 2 A 2

PC[B]の情報は登録されていないので、スイッチングHUB<B>はPORT2から1へとフォワーディングしてフレームを流します。

スイッチングHUB<B>から出たフレームも同様のことが発生して、グルグルとフレームがループするして、いずれはメルトダウンが起きます。

また、この状態で、PC(B) → PC(A)に送信したらどうなるでしょう?
スイッチングHUB<A><B>とも、PORT2から入ったフレームは、

MACアドレス ポート番号 MACアドレス ポート番号
A 1 A 1

の情報を見て、PORT1から出力されます。

スイッチングHUB<A>のPORT1から出たフレームはPC[A]に到着すると共にスイッチングHUB<B>にも入ります。
すると、スイッチングHUB<B>はアドレステーブル

MACアドレス ポート番号 MACアドレス ポート番号
A 2 A 2

の部分を参照してPORT2へと出力されます。スイッチングHUB<B>のポート2から出たデータはスイッチングHUB<A>のポート2から入り、PORT1から出て行きます。これによりいずれはメルトダウンが起きます。

☆ メルトダウン ☆Meltdown (マスタリングTCP/IP P.103)

異常なパケットがネットワークを埋め尽くし、通信不能になる状態。多くの場合、原因となっている機器の電源をOFFにしたり、ネットワークから切り離すなどの処置をしない限り、状態が回復することはない。

このような事態に陥らないために、ループを作らないようにします。

しかし、トラフィックの分散や迂回路の設定など、ループを作らないといけない時があります。

(大阪)   (東京)
    スイッチングHUB --- 専用線--- スイッチングHUB    
LAN --   -- LAN
    ----ISDN----
(バックアップ)
   
図9 ループを使った耐故障性向上

それで、このループを解決する方法が考え出されました。スパニングツリーと呼ばれる方式で、
この機能を持ったブリッジを使う場合に限り、ブリッジでループを作っても問題なく通信できます。

☆ スパニングツリー ☆(マスタリングTCP/IP P.103)(日経ネットワーク5月号 P.85)

(※6月の実習で行います)

IEEE802.1Dで規格。
図9の場合、見た目はループでも、ISDNの方を切っておく機能です。

1〜10秒間隔でBPDU(Bridge Protocol Data Unit)スパニングツリーにはBPDU・・・覚える!)を交換してブリッジ同士で確認しあいます。

もし、BPDUを交換し合い、ループを発見すれば自動的に遮断してループを回避します。また、障害経路も検出してそれを回避します。

「ハローパケット」と呼ぶ場合もあります。

☆ ブリッジの種類 ☆

ブリッジにはこのような種類があります。

  • ソースルーティングブリッジ(マスタリングTCP/IP P.104) IBM Token Ring 用
  • トランスペアレントブリッジ Ethernet用 いわゆる普通のブリッジ
  • トランスレーションブリッジ(マスタリングTCP/IP P.37) 異なるメディア

☆ トランスレーションブリッジ(変換ブリッジ) ☆

このような、FDDIとEthernetのように異なる媒体にはトランスレーションブリッジ(変換ブリッジ)が使われます。

「   

 F 
D
D
I

   」

- ブリッジ1 [A]
|
・---+---- --- ------+------ --・
- ブリッジ2 [B]
|
・---+---- --- ------+------ --・
図10 異なる媒体によるネットワーク
表 ネットワークのアドレス
機器名 MACアドレス IPアドレス
PC A A e
PC B B f
ブリッジ1 Ethernet側 C g
FDDI側 X v
ブリッジ2 Ethernet側 D h
FDDI側 Y w

PC A → PC Bにフレームを送信する場合、その方式は2つあります。

☆ トランスペアレント方式 ☆

この方式では、PC A→ ブリッジ1 では、

データ

のフレームがFDDIでは、

データ

となり、ブリッジ2 → PC Bでは

データ

が入り、送信されます。

これは、Ethernetを郵パック、FDDIを宅急便として例えると、
郵パックで届けられた荷物を、宅急便で送るために箱を入れ替えて行き先札をつけて送り、最後にまた郵パック用に箱を入れ替えて送るような感じになります。

☆ カプセル方式 ☆

この方式では、

データ

のフレームがFDDIでは、

データ

となり、ブリッジ2 → PC Bでは

データ

が入り、送信されます。

これは、トランスペアレント方式と同じ例で考えると、郵パックで届いた荷物を上から宅急便の箱を重ねて送って、最後にはその宅急便の箱を取って郵パックの荷物として送り届けるような感じになります。

まとめます。

  トランスペアレント方式 カプセル方式
Ethernet
データ
データ
FDDI
データ
データ
Ethernet
データ
データ
例えるなら・・・ 郵パックで届けられた荷物を、宅急便で送るために箱を入れ替えて行き先札をつけて送り、最後にまた郵パック用に箱を入れ替えて送る 郵パックで届いた荷物を上から宅急便の箱を重ねて送って、最後にはその宅急便の箱を取って郵パックの荷物として送り届ける

では、どのようにして、PC BのMACアドレスが分かったのでしょう?

トランスペアレント方式では、ARPで IP fのアドレスを問われると、ブリッジ1ではIP fを IP gとして受け取り、自分のMACアドレスを応答します。同様にFDDIでも、ブリッジ2がIP fをIP wとして受け取り、自分のHAを応答します。つまり擬似的なIPアドレスが必要となってくるわけです。

カプセル方式では、ブリッジ1のルーティングテーブルでMACアドレスBからMACアドレスYを検索して送信します。つまり、擬似的なMACアドレスが必要となってくるわけです。

☆ では、FDDIをATMに置き換えた時、LANエミュレーションはどちらの方式と考えられるでしょうか? ☆

これは、カプセル方式です。 トランスペアレント方式の場合はIPoverATMになります。

スイッチの転送方式(マスタリングTCP/IP P.102)

スイッチの転送方式には

  • ストア&フォワード ・・・ 一旦データを取り込んでから送り出す。
  • カットスルー           ・・・ 宛先を見てすぐ送り出す。

の2種類があります。

方式を見て分かるように、遅延時間は 当然 ストア&フォワード > カットスルーです。

しかし、世の中で使用されている率を見れば、ストア&フォワード 90% : カットスルー 10%です。

☆ なぜ、カットスルーの方が速いのに、ストア&フォワードの方がよく利用されるのでしょうか? ☆

それは、カットスルー方式に致命的な欠点があるからです。

<致命的な欠点>

異なる速度では通信できない。つまり、今の世の中では10Mbpsと100Mbpsが混在しているので気づかず使うと泣きを見ることになります(-_-;)


ルータ(マスタリングTCP/IP P.202)

ルータの経路制御(ルーティング)には、

  • ダイナミックルーティング
  • スタティックルーティング

があります。この中でスタティックルーティングRIPについて考えて見ましょう。
                            ダイナミックルーティング CHANGE 00/9/7

☆ RIP( Routing Information Protocol) ☆

RIPでは距離ベクトルのデータベースを作成してルーティングします。(下表)

IPアドレス
(ネットワークアドレス)
方向
(出力ポート)
距離
(ホップ数)
192.168.1.0 192.168.1.1 1
192.168.2.0 192.168.2.1 1
192.168.3.0 192.168.2.2 2
・・・ ・・・ ・・・
192.168.4.0 192.168.2.3 2

人間RIPになって、データベースを埋めてみましょう ☆

・---名古屋LAN---・ ・---仙台LAN---・
B.1 D.1
| |
[ルータ(名古屋)] F.1 --- --- ---

-------+

[ルータ(仙台)]
|
E.2 | H.2
| | |
E.1 F.2 |
|
[ルータ(大阪)] G.1 --- G.2 [ルータ(東京)] H.1

-------+

A.1 C.1
| |
・---大阪LAN---・ ・---東京LAN---・

1.直接繋がっているネットワークに対して埋めます。

大阪   名古屋
IPアドレス
(ネットワークアドレス)
方向
(出力ポート)
距離
(ホップ数)
IPアドレス
(ネットワークアドレス)
方向
(出力ポート)
距離
(ホップ数)
A A.1 1 A    
B     B B.1 1
C     C    
D     D    
E E.1 1 E E.2 1
F     F F.1 1
G G.1 1 G    
H     H    
 
東京   仙台
IPアドレス
(ネットワークアドレス)
方向
(出力ポート)
距離
(ホップ数)
IPアドレス
(ネットワークアドレス)
方向
(出力ポート)
距離
(ホップ数)
A     A    
B     B    
C C.1 1 C    
D     D D.1 1
E     E    
F F.2 1 F    
G G.2 1 G    
H H1. 1 H H.2 1

2.RIPは、30秒ごとに自分の経路情報を流します。ここで、大阪の情報を名古屋と東京が受け取ったとしましょう。

大阪の情報は名古屋ではE.2ポート、東京ではG.2ポートから入ってくるので【方向】はそのポート番号になり、距離は1足されます。

大阪   名古屋
IPアドレス
(ネットワークアドレス)
方向
(出力ポート)
距離
(ホップ数)
IPアドレス
(ネットワークアドレス)
方向
(出力ポート)
距離
(ホップ数)
A A.1 1 A E.2 2
B     B B.1 1
C     C    
D     D    
E E.1 1 E E.2 1
F     F F.1 1
G G.1 1 G E.2 2
H     H    
 
東京   仙台
IPアドレス
(ネットワークアドレス)
方向
(出力ポート)
距離
(ホップ数)
IPアドレス
(ネットワークアドレス)
方向
(出力ポート)
距離
(ホップ数)
A G.2 2 A    
B     B    
C C.1 1 C    
D     D D.1 1
E G.2 2 E    
F F.2 1 F    
G G.2 1 G    
H H1. 1 H H.2 1

3.同様に名古屋→大阪(E.1から入力)、東京(F.2から入力)も考えましょう。入力すべきベクトル情報がすでに書かれていた場合は、距離数を比較して小さい場合のみ書き換えます。

大阪   名古屋
IPアドレス
(ネットワークアドレス)
方向
(出力ポート)
距離
(ホップ数)
IPアドレス
(ネットワークアドレス)
方向
(出力ポート)
距離
(ホップ数)
A A.1 1 A E.2 2
B E.1 2 B B.1 1
C     C    
D     D    
E E.1 1 E E.2 1
F E.1 2 F F.1 1
G G.1 1 G E.2 2
H     H    
 
東京   仙台
IPアドレス
(ネットワークアドレス)
方向
(出力ポート)
距離
(ホップ数)
IPアドレス
(ネットワークアドレス)
方向
(出力ポート)
距離
(ホップ数)
A G.2 2 A    
B F.2 2 B    
C C.1 1 C    
D     D D.1 1
E G.2 2 E    
F F.2 1 F    
G G.2 1 G    
H H1. 1 H H.2 1

4.仙台→東京(H.1から入力)

大阪   名古屋
IPアドレス
(ネットワークアドレス)
方向
(出力ポート)
距離
(ホップ数)
IPアドレス
(ネットワークアドレス)
方向
(出力ポート)
距離
(ホップ数)
A A.1 1 A E.2 2
B E.1 2 B B.1 1
C     C    
D     D    
E E.1 1 E E.2 1
F E.1 2 F F.1 1
G G.1 1 G E.2 2
H     H    
 
東京   仙台
IPアドレス
(ネットワークアドレス)
方向
(出力ポート)
距離
(ホップ数)
IPアドレス
(ネットワークアドレス)
方向
(出力ポート)
距離
(ホップ数)
A G.2 2 A    
B F.2 2 B    
C C.1 1 C    
D H.1 2 D D.1 1
E G.2 2 E    
F F.2 1 F    
G G.2 1 G    
H H1. 1 H H.2 1

5.東京→大阪(G.1から入力)、名古屋(F.1から入力)、仙台(H.2から入力)

大阪   名古屋
IPアドレス
(ネットワークアドレス)
方向
(出力ポート)
距離
(ホップ数)
IPアドレス
(ネットワークアドレス)
方向
(出力ポート)
距離
(ホップ数)
A A.1 1 A E.2 2
B E.1 2 B B.1 1
C G.1 2 C F.1 2
D G.1 3 D F.1 3
E E.1 1 E E.2 1
F E.1 2 F F.1 1
G G.1 1 G E.2 2
H G.1 2 H F.1 2
 
東京   仙台
IPアドレス
(ネットワークアドレス)
方向
(出力ポート)
距離
(ホップ数)
IPアドレス
(ネットワークアドレス)
方向
(出力ポート)
距離
(ホップ数)
A G.2 2 A H.2 3
B F.2 2 B H.2 3
C C.1 1 C H.2 2
D H.1 2 D D.1 1
E G.2 2 E H.2 3
F F.2 1 F H.2 2
G G.2 1 G H.2 2
H H.1 1 H H.2 1

 

☆ 世界中のネットワークがRIPだらけにならないために ☆

このようなRIP情報が30秒ごとに流れます。全世界中のネットワークでこれが起こればどうなるでしょう?
世界中のネットワークがRIPだらけになってしまいます。

そうならないために、RIPではこのような決まりを作っています。

  • ホップ数が16を超えるものは送らない。
  • 自分のルーティングテーブルを書き換えたら、書き換えた情報だけ流します。

☆ なぜ、30秒ごとに経路表を送りつづけるのでしょう? ☆

ネットワークは刻々と変化しています。(回線の遮断、機器の故障・・・)
2分間(情報4回分)情報が送られてこなかったらそこから入力された情報は削除されます。

WANを専用回線でなくダイアルアップでつなぐと・・・ ☆

RIP情報を流すたびにダイアルアップして課金されることになります。要注意です。


☆ ダイナミックルーティング と スタティックルーティング (と デフォルトルーティング) ☆

ルータの経路制御(ルーティング)には最初に書いたように、

  • ダイナミックルーティング
  • スタティックルーティング

があります。スタティックルーティングはRIPなどのダイナミックルーティングと違って、人間の手で書き込みます。

上で作成したように

  • とにかく大変です。(ネットワーク8つであれだけ疲れたのにもっと・・・と考えるのもイヤ。)
  • 障害時に自動迂回が出来ません。

しかし、RIP情報が出ないというメリットもあり、金をとるか、労働力をとるか・・・って話になるでしょう。

☆ デフォルトルーティング ☆

ダイナミックルーティング、スタティックルーティングとは別にデフォルトルーティングというのがあります。

これは、Win95/98で設定するデフォルトゲートウエイと同じ意味で、ルーティングテーブルを持たないルータです。

では、実際そのようなルータはあるのでしょうか?

上のRIPの経路表を作成した時の仙台を思い出してください。

情報としては自分のLANへのポートか、WANへのポートのどちらかです。このような場合は安価なこのルータで十分なのです。


EGPs と IGPs(マスタリングTCP/IP P.204)

ここで、ルーティングプロトコルをまとめておきましょう。(マスタリングTCP/IP P.208)

  距離ベクトル方式
Distance Vector
リンク状態方式
Link State
IGPs RIP,RIP2,HELLO,IS-IS OSPF
EGPs EGP IDRP,BGP

※マスタリングTCP/IPでは、IGPとEGPと書いてますが、大きな集まりの方は複数形の(s)を付けるのが一般的です。

EGPsとIGPsの違いってなんでしょう?

IGPが組織内でEGPが組織外のルーティングプロトコルです。

☆ では、なんで分ける必要があるんでしょう? ☆

ではIGPs、EGPs分けが無くて、世界中でRIPを使っているとしましょう。

このような条件があっても、世界のどこかの工場でルータを導入するだけでたちまち世界中のネットワークはRIPだらけになってしまいます。

また、RIPは30秒に1回送るということは、30秒以内で送り終えなければなりません。全世界で考えるとネットワークはむちゃくちゃ多いです。そのルーティング情報を30秒で送るのは無理でしょう。

一般的に、IGPsはISP( Internet Service Provider)内のルーティングプロトコルEGPsはISP間のルーティングプロトコルと考えられるでしょう。


☆ リンクステート型 と 距離ベクトル型☆(マスタリングTCP/IP P.206)(日経ネットワーク6月号 P.178)

経路制御プロトコルには

  • リンクステート型
  • 距離ベクトル型

があります。

距離ベクトル型は、RIPのように経路制御表で覚えているのに対して、

リンクステート型は地図状態(トポロジマップと呼ばれるマトリクス)すべてのルータが同じ情報を覚えています。

→練習問題(日経ネットワーク6月号 P.176)

☆ トポロジマップ ☆

実社会の大阪近傍の路線マップで考えてみましょう。

京橋、枚方間は京阪電車で繋がっていて、京橋、天王寺間は大阪環状線で繋がっています。

しかし、枚方、天王寺間は直接繋がっていません。

この場合、トポロジマップは、

  京橋 枚方 天王寺
京橋   1 1
枚方 1    
天王寺 1    

(ルートがあると1を立てる。これに通常、パスコスト(ダイアルアップとかの金情報や品質情報)を付けて管理します)

となります。

ここに、京阪電車で京橋、枚方と繋がっていて、天王寺とは大阪地下鉄で繋がっている淀屋橋の情報を加えましょう。

  京橋 枚方 天王寺 淀屋橋
京橋   1 1 1
枚方 1     1
天王寺 1     1
淀屋橋 1 1 1  

今まで電車賃から計算して天王寺〜京橋は大阪環状線を利用していました。しかし、何らかの理由で環状線は不通になってしまいました。すると、トポロジマップは直ちに書き換えられ、天王寺〜淀屋橋〜京橋のルートが設定されるようになります。

  京橋 枚方 天王寺 淀屋橋
京橋   1 1 1
枚方 1    
天王寺     1
淀屋橋 1 1 1  

※回線遮断で情報が削除された(これもRIPと同じで一定時間情報が来なかったら遮断されたとみなします)

駅(ルータ)が2倍に増えると、RIPの場合は経路表が2倍になるが、リンクステート型ではマトリクスなので2乗に比例して4倍になります。しかし、優先順位の設定ができ、障害検出が早いという特長を持っています。

☆ OSPF ( Open Shortest Path First)☆(マスタリングTCP/IP P.211)

OSPFはリンクステート型のプロトコルで重み付けは設計者が行います。

10秒に一回経路情報の交換を行い、40秒情報が来なかったら遮断されたとみなします。

エリアの概念(マスタリングTCP/IP P.213)

リンクステート型は、ネットワークが大きくなるとトポロジカルデータベースが大きくなり、経路情報の計算が大変になります。OSPFでは計算の負荷を軽減するため、エリアという概念が取り入れられています。

マスタリングTCP/IP P.214を読む際には、エリア0のバックボーンを大阪環状線、エリア1を阪和線、エリア2を京都線と置き換えて考えると分かりやすいでしょう。ルータを駅、エリア境界ルータをその接続駅・・・
(エリア0とエリア1のエリア境界ルータは天王寺ルータ?)と考えてみる。

今のルータはだいたいOSPFとRIPをサポートしています。しかし、OSPFは設計が複雑なので嫌われているのが実情です。


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